東京地方裁判所 昭和32年(ワ)9397号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔事実と判断〕被告芝田キクエは、訴外朝日商事株式会社が訴外不二石油株式会社に対し既に負担し又は将来負担することあるべき債務につき、昭和三一年四月一六日連帯保証契約を締結するとともに、右債務を担保するため本件不動産につき限度額五百万円の根抵当権を設定し、かつ代物弁済の予約をした。朝日商事は不二石油に対し昭和三一年二月一〇日から同年七月一四日までの間合計一、六九四、四〇九円の石油類売買残代金債務を負担したところ、原告外二会社は不二石油に対し石油類の売掛代金債権をもつていたので、原告を含む右三社は昭和三二年一〇月一〇日不二石油の被告芝田キクエに対する前記債権の差押並びに転付命令を得て、原告は更に外二社の債権を譲り受けたうえ、被告芝田キクエに弁済の催告をしたが、支払わなかつたので、原告は被告芝田キクエに対し代物弁済として本件不動産の所有権を取得する旨の意思表示をし、その所有権移転登記並びに明渡を求めた。
判決は、右転付命令は無効であるとして、原告の請求は主張自体理由なしと排斥した。
「按ずるに主たる債務者に対する債権をさしおき、連帯保証人に対する債権のみの転付命令を受けても、その効力が主たる債権債務にも及び、主たる債務者に対する債権までも転付債権者に移転するものでないことは言を俟たない。而して連帯保証債務と雖も保証債務の一種に過ぎず、その性質は主たる債務に従たるものであるがら、その債権者の変動は主たる債務に於けると同一であるべきである(大審院昭和九年三月二十九日判決)。従つて連帯保証人に対する債権のみの転付命令を受けても、主たる債務者に対する債権が依然従前の債権者に帰属している限り、右の転付命令により主たる債務と連帯保証債務との債権者が別異になることは許されないから、右の転付命令は実質的効力を生ぜず、無効と言う外はない。」